昨年暮れに出た有川作品です。「メディアワークス文庫」の立ち上げラインナップの一つ。電撃とは違う「大人向けラノベレーベル」を目指すんでしょうか。
で、この作品を有川作品最新作、って書こうと思ったら「キケン」が出てた。相変わらず筆が早い作家さんだなあ。
さて、この作品は劇団が舞台。
劇団を運営する金がなくて困っている弟に、金を貸して管理する兄が出した条件は「3年以内に劇団運営で300万の貸した金を返せ」というもの。この作品では、その条件が出されてから最初の舞台が終わるまでしか話が進んでませんので、続編がきっとあるんでしょうねー。劇団メンバーの全員が舞台に立っているわけでもない。俳優なのに今回は裏方って人がいるからなあ。
で、相変わらずキャラがたっている。大きな流れを作っておいて後はキャラクターを動かして語らせる、ってのは有川作品らしいですねえ。ツンデレ兄、ダメ弟を中心に気丈な看板女優と内面に色々ある新人女優、とかとか。他のキャラはまた今後書かれていくのでしょう。恋模様も含めて、ね。
あと舞台づくりの現場と裏方の話って視点が面白い。舞台をやるためならメンバーが「チケットノルマ」という名目で持ち出しで資金調達するって辺りは確かに当然のことではありますが、周囲から見れば不思議に見えるんでしょうね(こういうことは大学時代に経験した)。
しっかしどの作品読んでも思いますが、有川さんは「楽しいお話」を書くことに血道をあげてますねー。文章はリズム重視で、「国語」の文法的にはいかがなものかというところもありますが、その辺はラノベである!と割り切ってかいてるのでしょう。
あと、取材をしたならばもっと色々かけるのでしょうが、それを全て「楽しいお話」に注げるところが有川さんの強みでしょうねえ。
読んでて思ったのは「シアターフラッグ」≒「有川浩作品」って事ですよ。途中の「シアターフラッグ評」とか「演劇界」のことを書いている部分では、こちとら読者を楽しませるために「ライトなノベル」「読んでスカッとしたりキュンとする話」を狙って描いてるんだから「深みがない」とか「軽い」とか「現実味がない」とか「会話がマンガチック」とか「キャラクターが型にはまっている」とか言われる筋合いは無い!ていうか言うな!面白さは正義だ!ってのが行間から二重写しで伝わってくること伝わってくること。
でも個人的には、有川さんてライトなノベルと、一般的な「小説」の橋渡し役になれる作家さんだと思ってる(小説のジャンル間の橋渡しになれる作家さんって少ないと思う)ので、その辺頑張ってほしいんだけど、無理かねえ。
でもって従来のラノベ作家にも「もっと取材してディテール出してからキャラ動かせ」って思いながら作品書いているような気がするのは気のせいかな…いわゆる「普通のラノベ」なんてずっと読んでないから、どうだろう。


















