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Zくん(from デイリーポータルZ)
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献血と名古屋グランパスが好きな図書館司書の日々(誤変換多数)。
2008.02.11 Monday
アイの物語/山本弘
山本弘さんといえば「と学会」の会長さんですね。筋金入りのヲタクでもあり、メディア・リテラシーという言葉の必要性を訴えている方でもあります。 で、読んでみた感想。 噂に違わぬ素晴らしいSF作品でした。「泣けるSF」といわれているのも納得(自分は活字で涙を流せない人間なので、泣きませんでした)。人物造型に青臭さも感じなくもないですが、そこも含めて評価したいです。 もう色んなところでレビューが書かれていますから、あまり特に書くこともありませんが、「人はなぜ傷つけあうのか」「もし機械が文明を持つとしたら」「機械によって救われる人の心もあります」といった事が書かれている5篇の短篇と2編の中篇。インターミッションを挟んで大きな一つの物語となります(アラビアン・ナイト的ですね)。 個人的には「詩音の来た日」が一番よかったなぁ。ネット上の感想を拾い読みしましたが、コレがいいって人が多いのも納得。ロボット出しておいて人間の死生論と介護問題を書くなんて凄い力技。自分も数日間研修で特養ホームに行ったことあるけど、あそこで働いている人たちは本当に色んなものをすり減らしているな、と感じたもんねぇ…。 どの作品も暗い結末は準備されていない(作中で「ハッピーエンドの話なんて現実とは違う」って書いているのがまたニクイ)。そして、虚構であれなんであれ、物語は力を持つ、そして、物語は虚構であるからその意味がある(時として現実を「超越」する)、ということもこの作品は語っております。「ゲームやらアニメやらにハマって現実と非現実の境がつかない」なんてそんな極論クソくらえという主張もにじみ出てきます。 「わからないから否定する」のはオカシイぞってことも述べている辺り、自分のスタンスもハッキリ押し出しています。その一方で元ネタのわかるパロディもあったり…(それ以上に自分の知らない元ネタがたーくさん有るんでしょう)。 読み終えてから巻頭の献辞を読むと中々キますねぇ。 しかし、この物語もあくまで作られた虚構であることを読者は感じるべきなのでしょう…多分。物語を進める上で余計になる事は書かれていないのだと…。 コメント
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